嵐「ファンクラブ入会」再開もライブチケット申し込み不可に賛否…継続会員“優遇”に透ける一部の“悪意”
2020年12月末の活動休止から約4年――国民的グループ「嵐」のファンクラブが再び話題の渦中にある。2025年5月、ファンクラブ(以下FC)への新規入会受付が再開されたものの、同時に明らかになった「新規会員はライブチケット申し込み不可」というルールに対し、SNSを中心に大きな賛否が巻き起こっている。
活動休止中も継続されたFCとその「意味」
嵐が活動休止に入った後も、FCは解散されることなく存続していた。メンバー個々の活動やアニバーサリー企画、グッズ販売の情報、そして何より「再始動」への期待を持ち続ける場として、会員たちは年会費を支払いながら静かに待ち続けた。
一部では「もう嵐は戻らないのでは」といった声もあったが、2024年末から再始動を匂わせる動きがあり、2025年に入り「再結成ライブの可能性」が各メディアで報道されるようになった。それに伴い、嵐FCへの注目が再燃し、新規入会を望む声が急増。そうした中での「入会再開」はファンにとって喜ばしいニュースであるはずだった。
新規入会はOK、でもチケットはNG? 混乱の声
しかし、FC入会ページに記載された一文が物議を醸した。
「新規ご入会の方は、今後予定されているコンサートやイベントのチケット申込対象外となります」
つまり、現在入会しても、仮に嵐がライブを開催しても、そのチケットに応募する権利が与えられないというのだ。これに対し、SNSでは新規ファンやかつて一度退会してしまったファンからの不満の声が爆発した。
「やっと入会できたのにチケット申し込めないなんて意味ない」「嵐のライブに行きたいからお金を払ってFCに入ったのに、最初から除外されるなんて不公平」といった声が相次ぎ、一部では「ファンクラブ詐欺」とまで言われる始末だ。
賛成派の意見:継続会員を守るための“当然の対応”
一方で、このルールを支持するファンも少なくない。
「ずっと待ってきた人が報われるのは当然」「再結成の可能性に賭けて毎年会費を払ってきた身としては、ライブのチケットが新規の人にごっそり取られるのは納得できない」といった“継続会員優遇”を支持する声が多く見られる。
嵐のFCは活動休止後も年会費が必要で、ファンクラブコンテンツも限定的だったため、「応援というよりも“信じる力”が試された期間だった」という会員も多い。そのため今回の処置を「ご褒美」と感じる人もいるようだ。
ただ、問題となっているのはこの優遇措置そのものではなく、それに付随する「線引きの仕方」や「透明性の欠如」である。
SNSで噴出する“分断”と“悪意”
FC再開のニュースは瞬く間に拡散され、「#嵐ファンクラブ」「#チケット対象外」などの関連ワードがトレンド入り。しかしその内容は喜びに満ちたものばかりではなかった。
「今までずっと応援してたのに一時的に退会してただけで除外扱いってひどすぎる」「一部の古参ファンが“新規ざまあ”って言ってるのが不快」など、新旧ファンの間で分断が起きている。なかには「自分さえチケットが取れればいい」といったような心無い投稿や、他人の入会動機を疑うような書き込みも見られた。
このような過激な意見が目立つ背景には、「嵐のチケットの入手困難さ」がある。過去には倍率数十倍とも言われ、ライブをめぐって家族や友人間で争いが起きたという話もあるほどだ。そのため、多くの人が「何としてでもチケットを確保したい」と思う一方で、その焦りが“他者を蹴落とす”心理を生み出してしまっているようだ。
運営側の思惑と対応の課題
ではなぜ、こうした“限定的入会”が実施されたのか。ファンクラブの運営会社であるジャニーズアイランド(現・STARTO ENTERTAINMENT)は公式な声明を出していないが、音楽業界関係者はこう語る。
「嵐ほどの人気グループが再始動となれば、一気に何十万人という新規会員が殺到し、サーバーや運営がパンクしてしまう恐れがある。そのため、まずは既存会員を対象に“安全な形でチケット抽選を実施”し、状況を見て段階的に対象を拡大するというのが狙いでしょう」
また、過去に「転売対策」として導入された「FC会員限定・顔認証付きチケット」などの厳格な管理体制がある以上、急激な会員数増加による混乱を避けたかったという事情もあるだろう。
だが、こうした事情をきちんと説明せず、会員募集と制限を同時に発表したことにより、結果的に“不信感”や“排他性”ばかりが強調される形となってしまった。誤解や怒りを防ぐためにも、丁寧な広報対応が求められている。
「全員で祝いたい」再始動、そのために
嵐の活動再開は、ファンにとって夢のような出来事だ。それだけに「できるだけ多くの人と喜びを共有したい」「昔からのファンも最近好きになった人も一緒に楽しみたい」という思いが根底にはある。
しかし、今回のFCチケット制限は、そうした“ファン同士の連帯”を妨げるような結果を生んでしまっている。「継続こそ正義」という声もあれば、「気持ちの強さに新旧は関係ない」という意見もある。
本来、嵐というグループが目指してきたのは「みんなが笑顔で集まれる空間」であったはず。チケット制度やFCの枠組みも、そうした理念に沿う形で設計されるべきではないだろうか。
今後の展望とファンへの期待
今後、段階的にチケット申込対象が広がっていく可能性もある。そうしたときに、今の“分断”が火種となって争いや対立を招かないよう、ファン同士の思いやりや配慮が一層求められる。
嵐の5人がステージに立つその日を、すべてのファンが祝福できる未来を――。
それを実現するためには、ただ制度の変更を求めるだけでなく、「誰かの喜びが自分の幸せになる」という“嵐らしさ”を、今こそファン一人ひとりが胸に刻むときなのかもしれない。





