年末年始のテレビ業界が例年にも増して激しい編成競争を繰り広げる中、「ダウンタウン揃い踏み」が実現しないという状況にもかかわらず、TBSが大胆かつ緻密な戦略のもとにウンナン関連番組を連続投入し、大きな話題と視聴者の注目を集めている。今年は特に、テレビ全体がタレントの出演調整やコンプライアンス強化に揺れる中で、視聴率の核となる大型特番をどのように配置するかが局の勝敗を左右しており、TBSは従来の「バラエティの王道」を踏襲しながらも、いまの時代に合わせた構成で新たな年末年始の視聴習慣を形成しようとしていると指摘されている。今回連発されるウンナン番組は、南原清隆が中心となる企画、あるいは内村光良が存在感を示す番組が軸となっているが、単なる懐かしさや往年のブランド力に頼るのではなく、若手芸人や今勢いのあるタレントを“自然に溶け込ませる”形で再構成されている点に特徴があり、テレビ離れが叫ばれる時代の中で幅広い世代を巻き込む仕掛けが随所に散りばめられているという。制作スタッフの一人は「往年の人気タレントをただ並べるだけでは新しい視聴者はついてこない。ウンナンの空気感をベースに、今の芸人が持つスピード感やSNSとも連動できるリアクションを取り入れ、時代の空気に合わせた“現代型レジェンド番組”として設計している」と語り、過去の成功フォーマットに甘えない姿勢を強調している。また、TBSがこの時期にウンナン関連の大型番組を複数投入した背景には、ダウンタウン両名の共演機会が限られる年末の編成事情を逆手に取り、視聴者が「代替ではなく、新鮮なものを楽しめる」環境を整える意図があるとされる。かつて年末といえばダウンタウンのレギュラー番組が視聴率の大黒柱として存在感を持っていたが、現在はテレビ界全体の構造変化に伴い、局側も新たな年末の“顔”を模索している状態にあり、そこで長く実績と信頼感を培ってきたウンナン系番組を軸に据える判断は、視聴者心理の読み取りという点でも非常に現実的だと業界関係者は分析する。さらにTBSは、年末年始の番組視聴が“家族でテレビを囲む伝統行事”から“スマホ片手のながら視聴”へと変化していることを踏まえ、番組内容をSNSで話題化しやすいテンポと企画構造に仕上げ、瞬間的な盛り上がりと長期的な視聴維持を両立させることを狙っている。内村光良が持つ柔らかい司会進行と、南原清隆が得意とする独自の間合いを活かした掛け合いは、ネット世代にも受け入れやすい編集スタイルと相性がよく、放送前からハッシュタグ戦略や事前告知映像を通じて、TBSは視聴者の期待形成に抜かりない準備を積み上げている。また、同局はこのタイミングでウンナンを前面に押し出すことで、バラエティ番組の“安心ブランド”を再認識させ、長引くテレビ業界全体の勢い低下を跳ね返す突破口として位置づけているという見方もある。さらに裏側では、TBSが昨年から強化し続けている“複数枠の継続戦略”が大きく関係しており、一度の成功に頼るのではなく、シリーズ化の芽を育てるような設計で編成を組んでいる点にも注目が集まっている。これにより、年末年始のみならず、年度を通して局のブランドイメージや出演タレントの存在感が安定して積み重なり、番組資産として長期的な価値を生み出す基盤となる。結果として、ダウンタウン不在による“空白”を埋めるという発想ではなく、年末年始という大舞台を新たな流れに転換していく積極的な戦略として、ウンナン関連番組の連発は位置付けられているのだ。TBSは視聴者の“年末特番の定番感”を再構築し、テレビ業界そのものに新たな活力をもたらそうとしており、その挑戦的な布陣がどのような反響を呼ぶのか、他局も注視している状況である。今回の編成は、単なるタレントの代替ではなく、テレビ文化の転換点を見据えた長期的視野に基づくものであり、年末年始のテレビ風景に新たな方向性を示す可能性を秘めていると言えるだろう。