神戸市須磨ニュータウンの名谷団地の一室が、官民連携によるモデルハウスに生まれ変わった。月3回の公開日にはリノベを検討するさまざまな世代の人が訪れ、実物を肌で感じながら自身のリノベのイメージを膨らませている。
玄関を開けると県産杉の板壁からふんわりと木の香りが漂い、すぐ横のウォークイン収納はベビーカーを置けるほど広い。個室では室内窓越しに家族の気配を感じながら在宅ワークができ、冬は暖房なしで過ごせる日も。室内干しができる広々とした水回り・脱衣所からは、周囲をぐるりと回れるキッチンにかけての動線がスムーズで、団地での快適な暮らしを約束する。
この部屋のコンセプトは「団地ぐるぐる」。数々の団地リノベを手がけてきた弊社が、断熱・家事動線・地産地消を軸に、団地リノベにおいて先行してきた「安くてユニーク」の価値観を、「暮らしの質」にシフトすることで、団地をどんどん住み継いでいきたいという思いでプロポーザルに提案。暮らしやすさを重視する主催側に響き採用された。
想定ターゲットは子育て世帯だったが、実際には同団地に長年暮らす高齢の住民が見学に訪れることも多い。玄関収納や水回りの広さに感動し「いずれは息子家族が住むから」と、同じ間取りでリノベの相談をいただくことも。期せずして、空き家になる前にリノベによって住まいの質を高め、次の住み手に継ぐという動きも生まれつつある。