プロ野球ニュース 直訴続きの西武、更改の舞台裏 一枚上手の渡辺GM「あんなの爆発のうちに入らない」
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■高橋光成の代理人伴った「メジャー直訴」にも平然
西武は20日、高橋光成投手が埼玉・所沢市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、今季の1億1000万円から7000万円増の年俸1億8000万円プラス出来高(金額は推定)でサイン。チーム全選手の契約更改が終了した。“大トリ“の高橋は、今年から代理人を務める深谷拓弁護士を伴って交渉に臨み、将来的なメジャー挑戦の意思を球団側に伝えた。今年の契約更改は、平良海馬投手が先発転向を求め1回目の交渉で保留するなど、波乱続きだった。
高橋は契約更改後の会見で、「メジャーには昔からぼんやりと興味がありましたが、今年のワールドシリーズを現地で観戦して、ここで投げたい、ここでプレーするんだという強い気持ちになりました」と目を輝かせた。海外FA取得は最短でも2026年となる見込みで、狙うはポスティングシステムによる早期挑戦だが、交渉に当たった渡辺久信GMは「将来的にメジャー移籍の意思があると聞いただけで、いつポスティングをさせるとかいう話ではありません」と強調した。
高橋も時期の話になると「いつ、というのはまだ具体的にはないんですけど……」「できるだけ早いうちに、というのが希望ですけれど、まず(西武で)優勝、日本一に貢献したいという気持ちが一番強いです」とやや歯切れが悪くなる。今季は2年連続の開幕投手を務め、自己最多で3度目の2桁となる12勝(8敗)、リーグ4位の防御率2.20をマーク。球団にしてみれば、高橋はまだ25歳で、試行錯誤の末にようやくチームのエースに育ったところだけに、そう簡単に手放すわけにはいかないのが本音だろう。
西武のシーズンオフは、森友哉捕手のオリックスへのFA移籍という衝撃で幕を開けた。森の人的補償としてオリックスから張奕投手、現役ドラフトで阪神から陽川尚将内野手を獲得するかたわらで、契約更改交渉の場ではファンを驚かせる事態が頻発した。
西武・渡辺久信GM【写真:荒川祐史】
■平良の「大爆発」発言にも…百戦錬磨のGMは「あんなもんじゃないよ」
今月1日には今井達也投手が更改後、入団時から付けてきた背番号「11」を来季から「48」に変更すると発表。尊敬する先輩で今季限りで現役を引退した武隈祥太氏の番号を受け継ぐのだが、自ら球団に直訴してエース級の番号から大きな数字へ変更するのは極めて異例のケースで、渡辺GMは「本当にいいのか?」と念を押したほどだった。
そして翌2日には、平良が先発転向を求めて更改を保留。2019年のオフから希望し続けてきたとあって、会見では「(先発したい気持ちが)つのって今、大爆発」と胸中を表現した。
球団側はチーム事情から当初難色を示したが、一方で渡辺GM自身は西武で14年、ヤクルトで1年、台湾プロ野球でも3年、主力投手として投げ続けただけに、選手の気持ちもよくわかる。会見では「平良は『大爆発』と言ったらしいけれど、大して爆発してないですよ。あんなのは爆発のうちに入らない。大爆発っていうのはあんなもんじゃないよと、俺は思っている」とジョークを混えて笑わせた。現場の首脳陣とも相談の上で、2日後の4日に2度目の交渉を行い、先発転向を容認し契約を更改した。
こうして見ると改めて、西武には個性的ではっきり自己主張できる選手が多いと実感する。渡辺GMにしてみれば容易ではないが、全選手の契約更改を終え、会見では「契約ですから、いろいろなことがあって当然。びっくりしないでください。みんな想定内です」と穏やかな表情で振り返った。気苦労も多いはずだが、4年ぶりのリーグ優勝を目指し、力強くチーム再編を続けていく。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)