大越健介キャスターが、プロ野球独立リーグのベースボール・チャレンジ・リーグに所属する、「茨城アストロプラネッツ」の伊藤悠一監督を取材しました。
独立リーグでは現在、8つの団体が地域密着を掲げて活動しています。
選手の年俸は約100万円で、NPB入りを目指しています。夢を追い掛ける選手が多いのも、独立リーグの特徴の一つです。
実は、伊藤監督は、大越キャスターの“元同僚”だといいます。
■かつての同僚と…“予想外”の再会
大越健介キャスター:「なかなかにぎわっている。たくさんファンが来てますね」
大越キャスターが取材に訪れたのは、野球・独立リーグの開幕戦。
かつて甲子園をわかせた選手たちもプレーするなか、異色の経歴を持つ新人監督がいます。
茨城アストロプラネッツ監督の伊藤悠一さん(35)。およそ10年間、NHKのディレクターとしてスポーツを中心に取材。大越キャスターと共に番組を作っていた、かつての同僚です。
大越キャスター:「こういう関係性になるとは、誰も思っていないよね」
伊藤さん:「思ってないです。お互い、あの頃は。17年間、野球から離れていた立場で監督になったけど、野球って楽しいな」
■年収約3分の1でも「毎日が刺激的」
野球は高校まで。選手として目立った実績はなく、指導経験もない伊藤さん。
一念発起して、プロ野球の世界に飛び込んだのは去年11月。茨城アストロプラネッツが、一般公募で監督のトライアウトを実施。
元NPB選手を含む99人が応募した中で、野球の世界とは程通い場所にいた伊藤さんが合格を勝ち取りました。
ディレクターからプロ野球の監督へ。第2子も生まれる伊藤家にとって、それは大きな決断でした。
妻・蘭さん:「生活がガラッと変わっちゃうし、不安でしかなくて。どうなるんだろうと…」
大越キャスター:「正直、収入も減ったと思う」
伊藤さん:「かなり減りました」
大越キャスター:「補って、余りあるだけのものは得ていると考えていますか?」
伊藤さん:「毎日毎日が刺激的ですし、私にしかできないこともチームにはある。テレビ局のディレクターと、野球の監督は似ている」
一見、かけ離れた2つの職業が似ている?それは、一体どういうことでしょうか。
伊藤監督のチーム作りをのぞいてみます。
伊藤さん:「どうだった、きょうは?」
選手:「ちょっと足の上げ方とかも変えたり、色々と試したりやってみたんですけど。自分に合うフォームを見つけないといけないなと思っていて」
伊藤さん:「巽投手コーチが近くにいるから、ブルペン入る時に自分からお願いして、見て下さいって全然言って良いと思う」
選手とのコミュニケーションを積極的にとっています。まさにこれこそが、伊藤さんならではの「チーム作り」。
伊藤さん:「選手を取材している。相手の気持ちを引き出したり、現状を引き出したり、取材のなかでかなりしてきた。相手の表情を見て、選手がどう思っているのかを見極める。テレビのディレクターの経験が活きている」
選手を取材し、考えを引き出し、答えを見つける。
そして選手から取材した内容をコーチへ共有し、技術的指導に活かしてもらう。
ディレクター出身の監督だからこそのチーム作りです。
そんな監督に選手達は…。
大生竜万選手:「自分の考えがまとまっていないと、技術の問題ではない。そこの考えをしっかりとまとめてくれるのが、伊藤監督なのでありがたい」
■選手“夢”を託された責任の重さ
チーム作りに手応えを感じる一方で、試合中の采配面で独立リーグならではの難しさがあるといいます。
伊藤さん:「NPBですと、勝ってファンを楽しませればオッケーだが、独立リーグはそれに加えて、選手を成長させないといけない難しさはある。9回1点差、ノーアウト1塁。送りバントで、1点を取りに行くが通常。送りバントをすることで、選手の1打席を奪ってしまう」
大越キャスター:「選手たちは、夢を追っている。夢を託された責任の重さ」
伊藤さん:「選手の人生を預かっている。テレビのディレクターを辞めて、退職してまでここにきた。お互いの覚悟を見せ合う」
選手を一人でも多くNPBに送り込む。覚悟を持って挑む、監督として初めてのシーズン。開幕2戦目。同点で迎えた8回のタイムリーで勝ち越し。伊藤監督の初勝利です。
伊藤さん:「お疲れ様でした!ナイスゲーム。3試合分くらい疲れた。これ1年間きついね」
(「報道ステーション」2023年4月20日放送分より)
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